Grape Fairies'blog ぶどう農家の一年

ぶどう農家の通年作業を綴るブログです。

房作り(花穂整形)と摘心

ジベの印に残していた花穂の肩の蕾が咲き始めましたので、房作り(花穂整形)(花穂の切り込み)(花切り)を始める事にしました。

f:id:GrapeTopia:20200523213058j:image

5月22日若い方のシャインに一花穂に一蕾開花確確認。

f:id:GrapeTopia:20200524195016j:image

5月24日には八分咲きになりました。

オーロラと古い方のシャインも開花確認しました。

急がなければ💦。

ぶどうの花には花弁が無く、花糸(雄蕊)が飛び出しすだけなので、あまり綺麗ではありませんね。

どれが正式な作業名称かは分かりませんが、この辺りのぶどう農家さんの間では房作りと呼んでいます。

新梢誘引時に予備整形は行っていますので、今回のは仕上げ整形になります。

適期は開花3日前〜開花始めですが、数が多くなれば満開までに間に合わ無くなるかもしれませんので、もう少し早めても良いかもしれません。

基準寸法を目安に長さで切り込んで行きますので、あまり極端に早いと切り込んでからさらに伸びる可能性が有ります。

普及所の指導ではピオーネ(3〜3.5cm)、オーロラ(3.5〜4cm)、シャインマスカット(3.5〜4cm)

若木は長め、粒の大きくなる成木は短くとなっていますが実際この長さで房作りを行うと粒の太り具合等により相違は有るでしょうが、私の圃場ではピオーネやオーロラで大半が500g行くか行かないか(下手すると400g中盤)、シャインやロザで600g行くか行かないかと言う非常に迫力に欠けるぶどうに仕上がってしまいます。

色付きや食味の観点からの指導でしょうが、色付きは別として私の短い経験上、大房のぶどうで食味が落ちていると感じた事は有りません。

それこそ1kg級のピオーネやシャインを食べた事が有りますが、十分過ぎる程甘くて美味しいぶどうでした。

とは言えあまり大き過ぎるのもどうかと思いますので、シャイン、ロザで700g中〜後半、オーロラで500g後半あたりを狙って行きたいと思います。

私の勝手な見解としましては、この辺りが一房箱や二房箱でギフト用販売するには一番見栄えがするかと思っています。

シャインとロザは2kg箱で販売する事も考慮して600g位のも作っておきます。

すでに予備整形してありますので、目標の長さまでサクサクと切り込んで行きます。

いちいち測ったりはしませんが、シャインやロザで約5cm、段数にして5段くらいを目処にオーロラやピオーネは約4cm、段数4段くらいを目処に鋏で切り込みます。

 

オーロラの房作り

長さ約4cm、段数にして4段くらいを目処に行いました。

f:id:GrapeTopia:20200523150735j:image

オーロラ摘穂後

f:id:GrapeTopia:20200523150823j:image

同じく仮整形後

撮影の為一気に行っていますが、誘引時頃に行います。

上の肩にジベの印を一つ残して、100%使用しない余計な車を予め除去しておきます。

f:id:GrapeTopia:20200523151305j:image

f:id:GrapeTopia:20200523151321j:image

長さは少し短いようですが、こんなもんでしょうか。

いちいち測ったりはしませんが、感覚でなるべく肩の車が揃った近い長さで止めます。

それぞれの花穂によって、段と段の間が広かったり、車のズレが大きかったりと様々な花穂が有りますので全ての房を同じ大きさに揃える事は出来ませんが・・・。

 

ピオーネ、同じく。

昨年ピオーネを伐採した為、今年はバイト先の観光農園でピオーネを1本お借りして栽培しています。

f:id:GrapeTopia:20200523202822j:image

整形前

f:id:GrapeTopia:20200523204944j:image

仮整形後

f:id:GrapeTopia:20200523205020j:image

仕上げ整形後

 

シャインマスカットの房作り

長さ5cm、段数にして5段を目処に行いました。

f:id:GrapeTopia:20200523205331j:image

整形前

f:id:GrapeTopia:20200523205614j:image

仮整形後

ジベ処理二発の品種も印は一つだけ残します。

(二発目は一気に行う為)

f:id:GrapeTopia:20200524211222j:image

仕上げ整形後

 

房作りが終わりましたら摘心を行っていきます。

房から先の必要な葉数を残して枝を切り落とす事で、一時的に枝の伸びを止めてぶどうの木が枝を伸ばす事に費やす養分を房にまわします。

そうする事で花振るいを防ぎ、結実を促して実止まりを良くし、果粒肥大も促進させます。

通常ピオーネやオーロラのような色付きぶどうは房先7〜8枚程度残して、シャインやロザや瀬戸のような色無しぶどうは房先6枚程度残してその先の枝を切除しますが、私はより果粒肥大を促進させる為、色無しぶどうは房先3〜4枚程度残して摘心します。

又短いので予防も行い易く、その他の作業でもあまり枝が邪魔にならずにグッドです。

強摘心すると当然葉数が少なくなりますので、葉面積が足りなくなり糖度不足などを引き起こしてしまう恐れが有りますので、葉面積を補う為副梢の残葉枚数を増やします。

ぶどうは新梢の各葉の付け根より又新たな枝を発生させます。

これを副梢と呼びますが、通常は房元2枚程度残して(日焼け等防止の為)、房先1枚程度残して切除しますが、私はとりあえず各1枚ずつ余分に残して切除します。

後々足りなさそうであれば、又その副梢から発生する副々梢をかき取らずに様子を見て1〜2枚残していきます。

これが正解かどうかは分かりませんが、私はこの方法で行っています。

そもそもぶどう栽培に正解確実な方法など無いと考えておりますので、各農家さんそれぞれの作業方法があるかと思いますが・・・。

f:id:GrapeTopia:20200523210054j:image

f:id:GrapeTopia:20200523210146j:image

f:id:GrapeTopia:20200523210207j:image

強い枝は予め誘引時に先端を摘心します。

誘引後に強い新梢のみ先端の未展葉部を摘心し、遅れている枝の伸長を促進させます。

f:id:GrapeTopia:20200524201833j:image

f:id:GrapeTopia:20200524202218j:image

いちいち葉数を数えてられませんので、端の1本のみ数えて摘心し、それを基準に大体同じ長さで切り揃えます。

花穂の付いている節が枝によって違いますので、同じ長さにすると房先の葉枚数もそれぞれ変わってしまいますが、そんなに厳密なものでも有りませんので、サクサクっと一気に切り揃えて行きます。

シャインなので房先4枚を数えて摘心します。

f:id:GrapeTopia:20200524202351j:image

摘心前、良く伸びています。

f:id:GrapeTopia:20200524202429j:image

摘心後、スッキリしました。

f:id:GrapeTopia:20200524203425j:image

オーロラブラック摘心前。

伸びている枝がイマイチ少ないです。

調子を崩しているのか、昨年からイマイチ勢いが足りないようです。

一昨年は良かったのですが😢。

f:id:GrapeTopia:20200524203852j:image

摘心後、房先7〜8枚で、良く伸びている枝が少ないので房を作りながら数えて摘心しました。

f:id:GrapeTopia:20200524204423j:image

f:id:GrapeTopia:20200524204455j:image

f:id:GrapeTopia:20200524204635j:image

副梢の切除。

シャインとロザは房元3枚房先2枚で、オーロラとピオーネは房元2枚房先1枚で切除しました。